News

2022.11.18

新規投資におけるサステナブルファイナンスの導入(キッズコーポレーションホールディングス)

2022年7月29日にお知らせした株式会社キッズコーポレーションホールディングス(以下「キッズ社」)への投資に際して導入した銀行借入について、第三者評価の取得を含むサステナブルファイナンス化の手続きが本日完了しました。

同借入は株式会社三菱UFJ銀行をアレンジャーとして組成された、株式取得を主な資金使途とするM&Aファイナンスです。今般、株式会社日本格付研究所(以下「JCR」)より、サステナビリティ・リンク・ローン(以下「SLL」)原則¹への適合に関する第三者意見を取得しました。同時に、ソーシャルローン²としても「JCRソーシャルローン評価」に基づく“Social 1”(5段階中の最上位)の評価を取得しています。

SLLは、借り手のサステナビリティ戦略に沿ったKPIとその野心的な目標水準であるサステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(以下「SPTs」)を設定し、SPTsの達成状況に応じて金利等の条件が変動する仕組みのローンです。キッズ社は、子ども主体の保育を特色とする保育サービス企業で、全国の病院内・企業内保育所の運営受託を主な事業としています。今回のSLL では、受託契約の純増数と保育士の離職率についてSPTsを設定しました。近年のESG/SDGs視点の高まりや人材不足を背景として、従業員の子育て支援に関する法人側の姿勢は変わりつつありますが、認可保育所に代表される定式化された受け皿だけでは対応しきれない、就労状況によって異なる保育ニーズ(夜勤への対応等)に対しては、具体的なソリューションが社会全体で不足しています。保育所運営受託では大手のキッズ社が企業基盤を強化し、これまで以上に受託契約数を増やしていくことは、キッズ社の企業価値向上のみならず社会課題の解決に直接つながることから、契約純増数のSPTsを設定しました。また保育士の離職率は、受託契約数の増加を支え、質の高い保育サービスを提供する観点で重要な指標であり、同じくSPTsを設定しています。

ユニゾンは創業時から、投資リターンに加えて経済的利益を超えたインパクトと社会的価値の追求を事業目的としています。私たちはバイアウト投資こそESGの取り組みを推進するために最適なガバナンス・モデルであると考えており、投資先企業ごとに事業内容・規模を踏まえたESGテーマを設定した上で中期経営計画に織り込み、役職員の評価・インセンティブと連動させることを通じてインパクトの創出を目指しています。本件はその一環であり、バイアウト投資と密接な関係にあるM&Aファイナンスをサステナブルファイナンス、とりわけSLLの形で組成することを通じてESGの取り組みをより一層強力に推進するものです。

¹英国Loan Market Association(欧州、中東、アフリカのシンジケートローン市場の流動性、効率性、透明性を改善することを目的とした協会。65ヶ国以上約800機関が加盟)等が制定。JCRは日本の環境省による「サステナビリティ・リンク・ローンガイドライン(2022年版)」も併せて適合性を確認している。
²社会課題解決に資するプロジェクトに資金使途を限定したローン。英国Loan Market Association等が2021年に制定した国際ガイドライン「ソーシャルローン原則」を参照。